『わかる』ハシモト会長かく語りき 第11話 お茶の一杯も出さんのですか


『わかる』ハシモト会長かく語りき

第11話  表の人生やろうや「お茶の一杯も出さんのですか」

しかも、誰が聞いても名のある店にしか販売しないと一言うんです。

当時は若かったんやな。

「売れません」と担当者に言われた私は、頭に血が上りましてね。

「あなた営業マンでしょ。

断るお客さんでもお茶の一杯も出して、話を聞いて断るのが筋とちゃいますか。

私は必ず、買ってみせますよ」

こう言い切りました。

そんなやりとりが、ある商社の専務の耳に入ったんです。

その人がおもろい人でね。

「その橋本という男、おもろいやんか。いっぺん会わせや」ということになり、会いに出かけて行ったんです。

「どうしてもこの商品がほしい」と話をしていると、

「よし、わかった。何とか応援したろう。一千万円の保証金を用意せぇや」

そんな金あるはずない。

なんとかせなあかん思って、借り歩きですわ。

金持ち捕まえての私の頼み方がかわいげないんです。

「おまえ金持ちやんか。金持ちは金貸してはじめて金持ちや。

何のための金持ちや。出したるのがほんまやろ」

こんなものいいで、なんとか一千万円をかき集めたのです。

それから一年後、私はエクセーヌを手に入れたのです

(つづく)


この連載について

「革っちゅうもんはなぁ、、、。」本物の革とは、商売とは、人間とは?
クアトロガッツを始めた頃に革屋さんではじまった人生談義。
それがハシモト会長との出会い。

80歳を超え、戦後からの日本を生きてこられてきた中で培われたその稀有な人生哲学と大阪ならではの人情味あふれる人柄。

「そや、ここに紙があるやろ。俺らは今までこの紙の裏をやってきたんや。いっぺん表をやろうと思うんや。」

珠玉の言葉を噛み締めていただければと思います。
毎週日曜日の夜21時に連載中。

『 わかる。ハシモト会長かく語りき』 に寄せて(クアトロガッツ 中辻)