小さいふ。


手塚治虫の描いたメッセージ

#2 ひ弱ないじめられっ子 “少年時代のマンガとの出会い”

手塚ワールドとクアトロガッツのコラボ小さいふ。第一弾「ブッダ」第二弾「鉄腕アトム」の小さいふが誕生。
マンガのキャラクターの生みの親である手塚治虫が伝え続けてきたこと。それは生命の尊厳というテーマでした。
地球を守りたい、生命を守りたい、子どもたちの未来を守りたい。年月を経て一層輝きを放つ手塚治虫のメッセージに今一度耳を傾けたいと思います。


小学生の頃、ひ弱で大変ないじめられっ子だった手塚治虫。
いじめられて帰ってくると、きまって母親がマンガを読み聞かせしてくれました。

当時は市民権もないおもちゃのような存在だったマンガでしたが母親の見事な読み聞かせがきっかけでその魅力にとりつかれます。
手塚治虫を救ったのはマンガでした。


「そんなこんなで、わが家にはなんとマンガ本が二百冊ほどもたまってしまい、クラスメートにはうらやましがられるし、そのうち、近所のガキ大将やらいじめっ子もぼくの家にマンガが読みたくて、ゾロゾロとやってくるようになりました。いつもいじめていたくせに、意地悪そうな表情が一変して、妙にニヤニヤしながら、親からいわれたおみやげなんか下げてくるわけ。こうなったら、もうしめたものです。
ぼくはこの時ほど優越感を覚えたことはありません。ぼくの家でいじめっ子たちが妙に、そして夢中でマンガを読みふけっているのを見ているのは、じつにいい気分で鼻高々でした。」

 

「当時の大方の親 というものは、いたずら盛りの悪ガキたちがドヤドヤと家に上がりこむのをあまり歓迎しませんでしたし、どやしつけたりもしていたものなのですが、母の態度はちがいました。
よろこんで、みんなをもてなして、みんなが家に来やすいようにすすんで応対してくれたのです。これはほんとうにうれしいことでした。
そして、いつのまにか、ぼくの誕生日にはい じめっ子も招待して、二十人ばかりの友人が集まるようになり両親や弟や妹もいっしょになって大騒ぎで和気あいあいの一日を過ごしました。さすがのいじめっ子たちも、それからしばらくは鳴りをひそめて、妙にぼくにやさしくするのでした。」

(”いじめられっ子”の僕をマンガが救った『ガラスの地球を救え』より)

つづく


(C)手塚プロダクション / 講談社

※手塚治虫の「塚」の字は、正しくは旧字体(塚にヽのある字)となります

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クアトロガッツ/WEBスタッフ
編集/文 中辻晃生 楠戸達也