小さいふ。


歌川広重 名所江戸百景

大はしあたけの夕立

名所江戸百景は、広重晩年の名作。安政3〜5年(1856-58)にかけてつくられ、全118 図からなる。彫りと摺りの絶妙な技を投入して描き上げたこのシリーズは広重芸術の有終の美をかざる大業である。
「大はし」は隅田川に架けられていた「新大橋」のことで、対岸に見えるのが、「あたけ(安宅)」の地である。ここには幕府の御船蔵があり、かつて御座船安宅丸がけい留されていたのでこの名がついた。激しく降りだした夕立に、傘やむしろをつけて足早に急ぐ人々の姿が印象的である。角度と濃さのちがう2種類の線で表現された雨が画面により一層の深みを与えている。本作は、《亀戸梅屋舗》とともにゴッホが模写したことでも知られる。

歌川広重

Utagawa Hiroshige(寛政9(1797)-安政5(1858))

江戸後期の浮世絵師。父は幕府の定火消であった。幼名は徳太郎。号は一遊斎、一幽斎、一立斎。13歳のとき両親に先立たれ家職を継いだが、間もなく歌川豊広に入門。1818年頃から作品を発表、初期は美人画と役者絵を制作していたが、1831年頃、斬新な色調の《東都名所》のシリーズを発表して風景画の分野に進んだ。その後《名所江戸百景》《東海道五十三次》などをはじめ、各種の江戸名所、諸国風景等の作品を残した。